業種に与える増税の影響
消費税が増加したことによって商品購入の際に払うお金が増えたからといって潤うのは企業ではありません。今回の「増税」は企業にとっても非常に悩ましい問題であることは以下の点から想像することができます。
駆け込み需要による売上の大きな変動
まず一番大きな影響を受けるのは「小売業界」に従事する方でしょう。9月30日までは「増税前」ということで「欲しいものが高くなる前に購入しよう」という人で溢れかえり、普段より売上が伸び、良い効果があるかもしれません。
しかし10月1日以降の「増税後」になると、「途端に売上が伸び悩む」ことは容易に予想することができます。また「増税」への対応として「キャッシュレス決済によるポイント還元」が始まる店舗では、休む間も無くその対応に追われ、しばらくは影響を強く受けるでしょう。
税負担の上昇
企業において「消費税」は消費者から受け取るだけのものではなく「税務署に納めなければならない」ものになります。本来企業が納める消費税は「企業が受け取った消費税から企業が支払った消費税」を引いた差額になります。
商品価格そのものが上昇した今後の売上はとても上昇傾向とはいえず、むしろ下降傾向が予想されうるとなると、企業としては税務署に納める金額が増えることが予想され、その影響は大きいと考えられます。
増税の影響の小さい業種は?
これから就職や転職を迎えるにあたっては、今回のように「政府の政策に影響を受けるかもしれない」ということを念頭に置かねばいけない時代になってきました。今回の増税においても影響が抑えられた業種があります。
アウトソーシング業
「アウトソーシング」とは企業が専門的な技術を求めてフリーランスなどの人材に業務を委託することです。普通、企業は社員に給与を支払う際に消費税が発生しませんが、外注に依頼する場合は消費税が発生します。
企業にとって、消費税を支払うことは納税の際に有利になりますので、逆説的にアウトソーシング業は潤うのです。
銀行業
先日、日本銀行の総裁より、記者会見にて「増税に対する銀行業への影響はほとんどない」ことが明言されました。銀行業は増税の影響が小さく、キャッシュレス決済やポイント還元などの「増税対策」の効果が十分に現れている業界だといえます。
金融商品取引業
証券会社も増税によって受ける影響は小さいと考えられます。理由としては株の取引自体は非課税なことが挙げられます。株の売買において課税される部分は「売買手数料」であり、手数料も株本体に比べるとかなり価格は低いので、影響は小さいでしょう。
大小はあれど、どの業界にも影響はある
今回の増税は、直接制度の対象になる商品を扱っていなかったとしても仕入れや納税などで少なからずどの企業にも影響が出るものとなっております。あらゆる企業で、今後増税に対してどのように立ち回るかを見直す機会となるのではないでしょうか?