

関税や消費税の負担が企業経営を直撃する中、柔軟な戦略で乗り越えてきた大企業の対応策は、あらゆる規模のビジネスにとって参考になることでしょう。生き残るために今できる実践的な対策をご紹介します。

消費税の増税や関税で影響を受けた際は、対策を講じて企業の収益性を確保しないといけません。
大企業が取った対策例を紹介します。
中小企業では真似のできないこともありますが、環境の変化にも対応して成長を続ける大企業の取り組みは参考になることが多いです。
関税の影響は輸入品に対して課されるため、現地生産に切り替えることで輸入に伴う関税負担を回避できる場合があります。
つまり、関税によるコスト増が著しい場合、現地生産に切り替えることで輸入に頼っていた原材料や完成品の関税コストが削減されて収益が向上しやすくなります。
2018年頃の第一次トランプ政権では、アメリカが中国に対して強気な姿勢で関税を大幅に引き上げました。
中国の生産が中心だったAppleは、インドやベトナムへの生産移転を行います。
関税の影響を回避できるほか、生産拠点を分散させることでサプライチェーンの多角化をし、ビジネスの柔軟性を高められるのも生産国をシフトさせるメリットです。
ただし、2025年に予定されている第二次トランプ政権による関税の引き上げは、より広範囲かつ高額になる見込みです。
2018年頃から始まった生産国のシフトだけではコスト上昇を吸収しきれず、Appleは価格抑制のためにも新たな取り組みを求められています。
また、現地生産へのシフトは時間とお金がかかるものです。
2018年頃から加速したAppleのインド・ベトナムへの生産シフトは一定の効果を出していますが、2025年時点では完全に計画が達成されていません。
そんな中で過去最大級の関税引き上げ案が急浮上したことで、Appleは再び早急な対策を求められる事態へと追い込まれています。

消費税増税や関税、為替レート、物価上昇のリスクを回避するためにも積極的に現地生産へシフトすればいいと思う方も多いでしょう。
しかし、現地生産へのシフトは注意点もあります。
現地生産に伴う移転は工場の建設費や人件費、設備投資など新たなコストが発生するため、緻密な計算をしないと利益を圧迫させてしまいます。
輸入関税以外の規制や税金、輸送コストなど生産地ならではの問題も考慮する必要があり、原材料や人員の問題から同じ品質のものを確保できるとは限りません。
総合的なコスト比較やリスク分析を行い、最適な生産体制を検討することが重要です。
生産拠点の分散は関税・物流・自然災害・政治リスク・地政学的な問題など様々なリスクを分散できます。
大企業がもっとも回避しないといけないリスクは供給の停止です。
消費税や関税の問題だけなら価格転嫁や企業側が赤字を受け入れることで供給の停止を回避でき、抱えている人員の労働環境を維持できます。
自然災害や紛争などで供給が停まった場合、多くの従業員を抱える大企業の損害額は非常に大きなものになります。
大企業は生産拠点を分散させる必要性が高く、拠点を選定する際には関税を含めて様々なリスクを分析しないといけません。
複数の拠点を管理・運営するためのコストや複雑さが増すデメリットがあり、生産国を分散させて品質を維持するのは大変なことです。
新たな拠点の設立や移転は短期的に多額なコストがかかり、新拠点の運用開始後も複雑な管理体制によってコストが増えてしまう場合もあります。
関税・消費税などの変動や予測に合わせて適切なタイミングで在庫を増減させる戦略は、比較的手軽で成果を出しやすいです。
税金が高くなる前に在庫を積み増す、または税金が引き下げられるタイミングを見計らって在庫を調整します。
大企業だけではなく中小企業も実践しやすい対策ですが、トランプ関税など突然決まって発動されることもあるので在庫調整の手配が間に合わないケースも多いです。
また、在庫を増やしすぎて裁けなくなるリスクもあるため、状況に応じた在庫調整をしないといけません。

大企業の多くは関税の変動や貿易政策の変更に対応するため、専門的な知見を持つコンサルティングファームや専門家を活用しています。
自社の人員だけで分析するケースもありますが、関税など税制面の対策に伴う生産拠点の見直しは一歩間違うと大損害を出してしまうものです。
サプライチェーンの最適化は専門的な知識が必要で、リスクを少しでも軽減させないといけません。
消費税や関税の対策をしたいのであれば、企業の大小に関わらず専門家へ相談するところから始めてみるとよいでしょう。